越前 漆器神社
越前漆器の産地として栄えてきた、福井県の河和田地区片山町の八幡神社と河和田町の敷山神社の境内には漆器神社があります。
八幡神社には、漆器工芸がすべて手作りで行われていた当時の、全工程の道具や漆器に関する古文書が保存されています。
神社からの眺めが良く、河和田の町並みを一望できます。
敷山神社には美しい漆の天井絵があり、こちらは河和田町会館まで問い合わせをすれば見ることができます。
これら2つの神社では、毎年職人の道具の供養やさまざまな関連イベントを実施しています。
いかにこの地域で漆器づくりが古くから盛んだったかがわかるってものです。
河和田の漆器のはじまりは約1,500年前の第26代継体天皇の頃といわれています。
実はこの継体天皇は越前の国にゆかりが深く、まだ継体天皇が皇子のころ、壊れた冠の修理を河和田の塗師に命じたそうです。
塗師は、冠を漆で修理するとともに黒塗りの椀を献上ました。
皇子はその見事さに感動し、片山集落で漆器づくりを行うよう奨励したことが越前漆器の始まりと伝えられています。
その後、江戸の後期には京都から蒔絵師を、輪島から沈金の技術を取り入れ、明治期には「丸物」とよばれる椀類から、重箱、お膳など「角物」にまで製品を拡大。生産エリアも河和田地区全体に広がり越前漆器の一大産地になりました。
その後、河和田を含むこの辺りの地域で作られる越前漆器は、工芸品にとどまらず旅館や飲食店向けの業務用として東京、大阪、名古屋といった大消費地に供給しつづけました。
こうした歴史の中で、たくさん作る量産技術、工程ごとの分業体制が構築され、町全体で漆器に携わることになりました。
古い河和田漆器を数個所有していますが、その質実剛健な作風と、どこかに感じる作風が気に入っています。
漆器神社(八幡神社)
電話番号 0778-65-1987
所在地 福井県鯖江市片山町漆器(敷山神社)
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